ウッドコーン

以前の記事で、「ビクタースピーカーキットSX-WD5KT/ザ・キット屋バージョン」購入をご紹介してから、だいぶ時間が経過しましたが、先月末頃からようやく製作に取り掛かり、この度完成しましたので、本品の製作記をUPすることにしました。
はじめに本製品をあらためてご紹介します。

優れた音響特性を持つ“木”そのものを振動板に採用し、その豊かな響きが高い評価を得ている、ビクター社独自の“ウッドコーンスピーカー”のハンドメイドキットを、ザ・キット屋がアップグレードパーツやネットワーク回路を変更して音質をさらにグレードアップさせたものです。
主なチューンは、ネットワーク回路をウーハースルー結線、コンデンサーをフィルムコンデンサーに変更する等、出来るだけネットワークの存在を消す方向にキット屋がヴォイシング。
また、アコースティック部分はウィンズ村瀬氏が内部配線材をWE(ウェスタンエレトリック)社製の銀巻線に、吸音材をサーモウールに変更して追い込みをしたものです。

では製作記に移ります。

梱包を解き、スピーカーを箱から出してみます。
ユニットが装着されている状態のキャビネットと取扱説明書が入っています。(写真左)
キャビネットの中にはネットワーク・ダクト・吸音材等がそっくり入ってるようです。
キット屋バージョンに別途使用する部品類と取扱説明書は梱包を開けるとすぐ分かるように入ってます。(写真右)
IMGP1589.jpg  IMGP1588.jpg


まず、キャビネットからウーハーとツィーターのユニットを3ミリの六角レンチを使って取り外します。(写真左)
ウーハーがキャビネットに固着し中々外れにくくなっていますので、キャビネット横を慎重に手で叩き、ショックを与えながら外しました。先にツィーターを外して裏から手を入れて押し出すにも窮屈で上手くいきませんでした。ツィーターが外れにくい場合は逆にウーハー穴から手を入れて押し出せば簡単に外れるはずです。別に良い方法があるとは思いますが、キャビネットに傷を着けないようにすることが肝要と思われます。
ユニットを外し、キャビネット内部からご覧のような使用部品一式を取り出します。(写真右)
今回は塗装をすることにしますので、その間この部品は無くさないように保管しておきます。
IMGP1590.jpg  IMGP1591.jpg


塗装ですが、当初、以前の記事のとおり「オスモカラー」を使ったオイルフィニッシュを予定しておりましたが、予算的な妥協により、「ワトコオイル」を使用したオイルフィニッシュ後に「ワトコワックス」で仕上げすることにしました。
NEC 0074


キャビネットには全面天然チェリー材が使用されています。
正面バッフル板は無垢材単板、天底板と側板は集成材、裏板は突き板張り合板です。
あらかじめ塗装を前提にしていることと、木材の割れ防止対策として、ウレタン塗装が施されています。表面はザラザラしています。

まずは、この塗装を剥す工程からスタートです。

最初に作業時間短縮のため、♯120のペーパーを使用して剥離します。
基本は木目に沿ってペーパーを当てることですが、♯120は逆目だと傷が深く残るので、最初に天底板の木口にペーパーを当て、その部分をマスキングテープで隠してからその他の面を削ります。
確かにこの番手は作業は早いのですが、木口のアール部分等、削り過ぎに注意しなければなりません。 IMGP1592.jpg

おおよそ削れたところで、♯240のペーパー掛けに移ります。
後で思ったことですが、ウレタン塗装は思いのほか簡単に削り落とすことができたので、最初からこの番手で始めてもよさそうです。
この時点で木口のマスキングは外して行いました。
削りカスを布やハケで払いながら、目視や触感で頃合を判断しこの部分を終了。
IMGP1593.jpg
  
次に水を硬く絞った布で、キャビネット全体を拭きます。
乾燥して毛羽立つと、ウレタン塗装の削り残しがはっきりと見えますので、♯320のペーパーで均一に研磨します。いわゆる「水引き」です。
IMGP1594.jpg

本来、下地仕上げはもっと番手を上げて行うべきでしょうが、この後、オイルフィニッシュ独特のウェット研磨をおこないますので、下地作業はこれで終了とします。 右が塗装剥離作業後、左がウレタン塗装のままの状態です。
IMGP1598.jpg

その後同じ工程でもう片方の剥離作業を行います。
両方の下地工程が終了した状態です。
IMGP1600.jpg


次にオイル塗装です。
ハケで少し多め位にキャビネット全体に塗り込みます。
木口はオイルを多く吸い込みますので、この部分は特に多めに塗ります。
約30分間そのまま放置した後、布で拭き取ります。
片方のみ塗った状況です。
IMGP1601.jpg

続いて、初回より少なめにオイルを塗り、♯400のペーパーでウェット研磨します。
こうすることによって、削れた木カスとオイルが混じり合い、ペースト状になったオイルが木の導管を塞ぎ一段と表面が滑らかになります。
15分後に布で拭き取ります。
ここで終了すると、いわゆるカントリー風の仕上がりにはちょうど良い感じではありますが、今回はもっと重厚な感じにしたいので、次の作業に進みます。

その後♯600ペーパーで同じ作業を行います。この頃から一段と表面が滑らかに感じるようになります。

次は、同様にオイルを塗った後、スチールウールの「ボンスター」でウェット研磨します。
この作業で、木肌の肌理がより細やかになるのが分かります。
オイル塗装工程は以上で終了。ワックス工程まで約1日乾燥させます。

このオイルは半ツヤ仕上げですが、ご覧のように角度によっては研磨の効果が見て取れます。(写真右)
IMGP1607.jpg  IMGP1609.jpg


作業は夜間に少しずつ行いましたので、ここまで三夜程かかってますが、日中一挙に作業を進めれば、半日位で塗装まで完成できると思います。

そしてワックス工程です。
ハケでキャビネット全体に塗ります。
約20分位して拭き取ります。
その後は時々空拭きしながら、1日乾燥させます。
今回はこの工程を2回行いました。
ワックス後3日目の状況です。画像では分かりづらいですが、半ツヤ独特の慎み深い輝きを発しています。
IMGP1625.jpg


オイル・ワックスともに、1週間の完全乾燥時間を要しますので、その間に次の工程のネットークの製作に取り掛かります。

説明書どおり、基盤に、コイル、コンデンサー類を瞬間接着剤で仮固定します。 (写真右)
IMGP1616.jpg  IMGP1618.jpg

今回のキット屋バージョンでは、コンデンサーを1個フィルム型に変更しています。
まずは、リード線をねじり合わせ、その後、スピーカー内部配線とともにはんだ付けします。
ビクターの説明書では、スピーカー内部配線材はリード線にねじり込んではんだ付けすることになってますが、キット屋バージョンの線材は高級仕様ということで太く、要所にそのままはんだ付けしました。
はんだは前から使っているゴールドニッカスというものを使用。
リード線の余分な箇所はニッパーでカットし、その後ボードに這わせておきます。
一応、導通や非道通をテスターでチェックしておきますが、ノーマル状態とはちょっと回路が違うので、知識不足が暴露し、おおよそのところで良しとしました。
IMGP1619.jpg  IMGP1621.jpg

そして、ゴム系ボンドで本固定します。今回はコニシのG17を使いました。
コンデンサーやコイル設置面はもとより、リード線やはんだ箇所、コイル全体にも塗布し、防振対策を図ります。
IMGP1622.jpg

1日乾燥させます。

翌日、まだキャビネットは乾燥してませんが、ネットワークをキャビネット内部にビスを介して取り付けます。
そして裏面にスピーカー端子を取り付け結線します。
IMGP1627.jpg  IMGP1628.jpg

次は、バスレフダクトの接着です。
その前に裏板のダクト穴にダクトリングをシールを剥して圧着します。
IMGP1630.jpg  IMGP1631.jpg

ダクトの長いほうの先端に5ミリ間隔で、ゴム系ボンドと木工ボンドをたっぷり塗り、キャビネット内側から装着し、左右に回して各ボンドを馴染ませます。
この後、ボンドが固着するまでそのままにしておきます。
IMGP1633.jpg  IMGP1634.jpg

この時点で塗装後5日位経過してましたので、もう2日もすればユニット取り付け可能と思っていた矢先、不覚にも体調を崩してしまい、しばらく作業を中断することに。
結局この後10日も乾燥を重ねることになってしまいました。 ですので乾燥だけは完璧です(笑)。

10日ぶりの作業再開です。
でも、殆ど手のかかる作業は残っていません。

まずは吸音材の装着です。
キット屋バージョンはサーモウールが付属していますのでこれを使います。
バスレフダクトを跨ぐように、あらかじめハサミで切り目をいれました。
裏板にそってコの字型に収納し、内部配線も切り目から所定の位置まで引いておきます。
IMGP1636.jpg  IMGP1639.jpg

そしていよいよユニットの装着になりました。
ここまで来るとほとんど完成ですが、取り付け時にコーンを破損しないように、はやる気持ちを押さえながら気を引き締めて作業を行います。
ユニットに端子を装着します。
六角レンチを使い対角線ごとに取り付けビスを回しこみます。
IMGP1640.jpg  IMGP1641.jpg

以上で本スピーカーキットの完成と相成りました。
左右比べるとバッフルの無垢板の模様や色がだいぶ違います。
キットですので個体差のバラツキはしょうがありませんし、いい方に解釈すれば「これぞ手作り!」って感じを醸し出しておりますので、これで大満足です。

いよいよ音だしです。
このスピーカーは寝室も兼ねている部屋で気軽な感じで聴きたいと思い、白ダモ無垢のタンスの上に置きました。
IMGP1642.jpg

サブシステムですので、プレーヤーは普及型を使い、アンプはTU870に繋いでみました。
IMGP1644.jpg  IMGP1645.jpg

普段聴きなれたCDを聴いてみます。
出だし一番、思いのほか低音が出てます。
ボンつくような低音でなく、割と低いところまで崩れない上品な低音です。
全体的には、高音域の粒が粗く、抜けや音離れがイマイチでしたが、50時間のエージングが必要との事前情報もありましたので、なにはともあれCDをリピート再生でかけまくります。

まだ20時間程しか経過してませんが、明らかに澄んだ音に、そして奥行きのある音へと変っていくのがわかります。
やはりウッドコーンの素晴らしいところでしょうか、ハイスピードながらナチュラルでのびのびと鳴ってくれます。
エージングが終われば、もっと響きの良さが感じられる、滑らかな音に変わるに違いありません。
今後の音の変化が楽しみなところです。

ノーマルを聴いていないのでなんともいえませんが、キット屋の大橋店主以下が追い込んで仕上げた音が十分出てるんだろうなと思っています。
インシュレーターを変えたりして音を追い詰めるともっと良い感じになると思います。

キットという、作る楽しさ・喜びを味わいながら、良い音も楽しめる...
大満足のスピーカーです。
Secret

TrackBackURL
→http://northline.blog82.fc2.com/tb.php/1132-6ac04e63